てんかん持ち妊娠出産で懸念されること
男性側や女性側でてんかんを持っていて、妊娠出産する上で遺伝性を心配する方が多いといいますが、胎児への遺伝は心配ないと言われています。
その前に、てんかんには、「症候性(しょうこうせい)てんかん」と「特発性(とくはつせい)てんかん」の二種類があり、前者は脳出血、脳梗塞、脳外傷といった脳の障害から起きるものとされていて、後者は原因不明とされています。
どちらのてんかんにせよ、危険率は通常と比べ2~3%の上昇と過敏に心配する遺伝性は問題ないといわれており、仮に遺伝したとしても良性であることから治癒することが多いと言われています。その為、男性側や女性側でてんかんを持っていても、子供への影響は心配ないといえます。
心配したほうが良い点としては次項で説明していきますが、妊娠中のてんかん発作や抗てんかん薬の服用に関して、男性の服用は問題ないと言われていますが、女性の服用は奇形発生率が高まるために気をつける必要があると言われています。
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妊娠中に発作を起こした場合の赤ちゃんへの影響
胎児のために、抗てんかん薬をやめてしまうことも多いですが、やめたことで妊娠中にてんかん発作を起こした場合は、胎児に悪影響が及ぶことがあると言われています。
てんかん発作はおおきくわけて、全般発作と部分発作の二種類あり、まず、意識を失ったり全身けいれん発作が起きるような全般発作(全身強直間代発作・単純欠神発作・複雑欠神発作・点頭発作・脱力発作)の場合は、呼吸がしっかり行われないことから、低酸素状態となり、胎児への酸素供給が減ることで、発達障害・奇形・切迫流産・切迫早産に繋がる危険性もあると言われています。
リスク低減の為にも妊娠中も抗てんかん薬を続けることは必要
切迫流産や早産などのリスクを減らすためにも、妊娠中も抗てんかん薬を服用することが大切です。
「バルプロ酸ナトリウム(デパケン)」は、全般発作の中でも処方されることが多い薬となり、気分障害にも役立つと言われています。
また、全般発作の中でも強直間代発作に有効的でいて重症時に注射として用いられることもある「フェニトイン」や、「ゾニザミド」「トピラマート」「ラモトリギン」なども有効的として処方されるケースが多いといいます。
部分発作の一種である単純部分発作・複雑部分発作の場合は、意識を失うことはないものの意識朦朧としている際に転倒する恐れがあり、腹部損傷から胎児の死亡リスクが高まることがあると言われています。
カルバマゼピンの服用には細心の注意が必要
全般発作同様に、部分発作による胎児へのリスクを減らすためにも、抗てんかん薬を続けることが大切です。
部分発作に対する薬の中で最も多く処方される「カルバマゼピン」は、全般発作で服用すると悪化するといわれていたり、グレープフルーツと薬物相互作用の関係にあり、薬が効きすぎることもあると言われているので服用する際は要注意です。
同時に、効きが長い「ラミクタール」は、発疹など皮膚障害が起きるケースもあるといいますので、ラミクタールを取り扱う際も慎重になる必要があると言えます。
妊娠時の抗てんかん薬の服用で赤ちゃんの奇形リスクに問題が起こる確率
てんかん発作による胎児の流産などのリスクを下げるためにも、妊娠時に抗てんかん薬を服用することは大切と言われている一方で、抗てんかん薬には、兎唇・口蓋裂・先天性心疾患といった胎児の奇形リスクを上げる可能性もあるとも言われています。
デパケンの確率が9.3%と最も高い
抗てんかん薬を服用した場合とそうでない場合ですが、奇形発生率が2~5%から4~10%と2倍近く上がるといわれていて、薬によって危険率は違うといわれており、抗てんかん薬の中でも多く処方されるバルプロ酸ナトリウム(デパケン)は、9.3%と最も高いとされています。
続いて、カルバマゼピンでは3.0%となり、フェニトインは2.9%であり、イーケプラは2.4%で、ラミクタールは2.0%と言われています。
単剤と多剤の服用でも確率の変化があり
さらに、一種類と単剤の場合と二種類など多剤の場合でも違いがあるといい、単剤であると3.7%であるものの、多剤であると6.0%も奇形リスクが上がるとされています。
抗てんかん薬の服用によって、このように通常よりも奇形リスクが上がることが報告されていますが、実際に、抗てんかん薬を服用していても90%の方は、元気な赤ちゃんを産んでいるといったデータもありますので、そこまで心配する必要はないでしょう。
てんかんの持病があり、妊娠を希望する場合は事前に医師に相談するようにしましょう。てんかんの症状の重さや投薬する薬の変更、服薬指導などを受けることができます。てんかんがある場合は計画妊娠が推奨されるため、医師の指導のもとで妊婦と胎児にとって最もリスクの少ない治療を行うことが重要です。
奇形発生率を下げる為の葉酸摂取が最重要視されている
一部抗てんかん薬では、血中の葉酸濃度の低下によって、葉酸の通過障害が起き胎児に葉酸が十分に届かないことから奇形リスクが上がると言われています。
葉酸は、妊娠初期の胎児の脳や脊髄といった重要な部分の成長に関与することで、神経管閉鎖障害といった奇形発生率を下げるといわれていて、不足した場合は、奇形発生率が高まって流産や死産に繋がる恐れもあると言われています。
抗てんかん薬服用時の葉酸の摂取量
てんかん治療ガイドラインでは、薬によって血中の葉酸濃度低下といった影響を受けている場合があったり、妊娠を気づいた時には脳や脊髄の成長が行われる妊娠初期を過ぎている場合もあるため、妊娠前から葉酸を摂取する必要があるとされていて、1日の補給量は、非妊娠時で0.4mg/日となり、妊娠時では0.6mg/日が推奨されています。
0.6mgというと、例えば葉酸を含むほうれん草の場合は、10株と食事のみから摂るのは困難であり、厚生労働省なども妊娠時期はサプリメントからの摂取を認めていますから、摂取する際は葉酸サプリメントからも補うようにしてください。
また、一部抗てんかん薬での葉酸濃度低下による奇形発生率を下げるためにも、できれば抗てんかん薬の種類を変更することもおすすめで、バルプロ酸やカルバマゼピ以外であれば、血中の葉酸濃度の低下に繋がらないとされているので、医師に相談してみましょう。
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