神経管閉鎖障害とは?
神経管閉鎖障害とは、“脳や脊髄の異常”を指します。分かりやすく言うと、妊娠4週目~5週目ごろに胎児の脳や脊髄の成長が未熟なことを意味する、胎児の先天異常です。
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神経管閉鎖障害は2種類ある
神経管閉鎖障害には『脳』の形成不全や『脊髄』の2種類の障害がありますが、脳の形成不全は、『無脳症』と言われています。胎児の脳が形成されていない状態、もしくは欠損している場合もあり、そのほとんどが死産に繋がるといわれています。
例外として、出産を迎える場合もありますが、その場合、よく生きられても、生後1週間程度だといいます。
脊髄の障害は、『二分脊椎』が多く、『潜在性』のものと、『顕在性』のものに分けられますが、胎児の場合は『顕在性』の二分脊椎が殆どと言われています。
顕在性の二分脊椎は、胎児の脊髄が形成されない場合や欠損している状態や、脊髄が本来おさまるべき場所から露出した状態を多く、外部から確認できる症状として、頭囲のサイズが大きくなる水頭症や脊柱の変形、腫瘤(はれもの)などがあります。
胎児の神経管閉鎖障害はいつわかる?検査時期や方法は?
胎児の神経管閉鎖障害は、妊娠検診の一種である『エコー検査』で判明するケースが多いと言われています。
『無脳症』の場合は、『妊娠11~14週頃』のエコー写真で疑われます。頭部がはっきり映らなかったり、欠けている様子があるようです。疑いがある場合は、母体の血液検査・羊水検査といった正確な検査がもとめられます。
『二分脊椎』については、『妊娠16~20週頃』の、エコー検査や血液検査、羊水検査によって、判明することが多く、その時期がより正確にわかると言われています。
万が一、神経管閉鎖障害だと判明した場合、無脳症では、その殆どが死産に繋がることも多く、二分脊椎は後遺症が残ることも多いことから、堕胎(だたい)という選択をされる方も多いのが現実です。
神経管閉鎖障害の原因と日本の発症率は?
日本では、10.000人に6人の確率で発症しており、年間を通して673人の胎児が神経管閉鎖障害(二分脊椎が半数を占める)を発症しているといいます。決して少ない数字ではないことが分かると思います。
神経管閉鎖障害の原因は、『遺伝』や『妊娠中の環境(坑てんかん薬の服用・糖尿病・肥満・喫煙・ビタミンAの過剰摂取・放射線など)』や『葉酸欠乏』といったことも考えれています。
遺伝に関しては医学でも原因が解明できず対策をすることができないのですが、妊娠中の環境、そのなかでも葉酸欠乏を対策することで、高い確率で神経管閉鎖障害リスクを低減することができるとされております。
葉酸は胎児の脳や神経管を作る為に重要な役割を持った成分であるということが発覚し、妊娠前からの葉酸の摂取によって、『神経管閉鎖障害のリスクが60~75%の割合で下げられる』というイギリスや欧米など、諸外国からあがった研究結果より、葉酸が神経管閉鎖障害の回避に有効的であることが判明しているところがその理由です。
葉酸は胎児の脳や脊髄を形成する為に重要な栄養成分
葉酸がなぜ神経管閉鎖障害リスクの低減につながるのか?その理由について知りたい方も多いのではないでしょうか。葉酸の重要性の前節として、胎児の脳や神経、臓器や器官は、母体から栄養を送り、細胞分裂していくことで形成され完成します。
葉酸が胎児の身体を形成していく為に重要とされている理由は、葉酸が直接的に細胞分裂を行わせる役割を持っているところにあります。つまり、葉酸は脳や脊髄などを作る為になくてはならない栄養素であり、形成を手助けする効果があるのです。
海外では、葉酸を摂取した妊婦さんは、60~75%も神経管閉鎖障害の発症リスクを下げたという研究結果もある通り、日本では2002年から葉酸を摂取したほうが良いという推奨を厚生労働省もから発表しております。
葉酸は、母体だけでなく、胎児の脳や脊髄を形成、成長する為に必要な成分で、妊娠中の葉酸サプリによる補給が推奨されているのは、その為なのです。
神経管閉鎖障害の発症率の低減の為に葉酸を摂取する時期は?
神経管閉鎖障害の発症率を低減するためには、『妊娠4週目~12週目までの期間』の葉酸の摂取がもっとも大切と言われています。
『妊娠4週目~12週目までの期間』までに胎児の脳や脊髄の重要な部分の形成が行われることから、葉酸サプリメントも妊娠初期である『妊娠4週目~12週目までの期間』の摂取が特に重要と言われるのはこの為です。
厚生労働省では、神経管閉鎖障害を発症しないためにも、妊活段階である妊娠1ヶ月以上前から摂取が良いと案内しております。
妊娠前から飲んでいないことに対して心配される妊婦さんがいらっしゃいますが、妊娠1ヶ月以上としているのは、いつ妊娠して胎児の成長が始まっても良いように設定している為です。なので、妊娠前から飲まなくても、妊娠が分ったあとからでも葉酸サプリを飲んでも遅いことはなく、12週目まで飲めば『神経管閉鎖障害のリスク低減』の対策として問題ないとされています。
まとめ
死産や後遺症が残る神経管閉鎖障害に関してと、葉酸の重要性もわかったと思います。同時に、葉酸の摂取に関して、厚生労働省が推奨する理由や、母子健康手帳に記載されている重要性も分かったのではないでしょうか。
神経管閉鎖障害は、遺伝なら現在の医療では、原因がわからず対策することはできませんが、葉酸不足による対策は、約70%も低減することできることが明確にわかっているのです。
最低でも脳や脊髄の成長が行われる『妊娠4週目~12週目』の期間は、お腹の赤ちゃんのためにも、ママさんは葉酸を意識して補給する必要がありますし、必要ならサプリメントで摂取することも大切です。
神経管閉鎖障害は、妊娠検診に行っていれば、ほとんどが判明すると言います。昔は妊娠検診にも費用がかかりましたが、現在は妊娠検診も無料で行えますので、忘れずに必ず足を運ぶようにしましょう。
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